ART MORIYA の哲学
今季からarmiの染め直しを請け負ってくれるART MORIYAさんの工房にお邪魔しました。
ART MORIYAさんは左官と藍を世界初融合させた藍左師であり、アーティストとしても活躍されていて、そのフィールドは世界に及びます。
お会いするまでは私自身も恐縮して身が縮む思いでしたが、守谷氏ご本人にお会いすると印象は違っていました。
・創作を純粋に楽しむ
・地元と家族を愛し大切にする
・周りを生きやすくする
ややこしいことは抜きに、コアがとてもシンプル。
活動の幅は広く、色々な取り組みをされているけど、だからブレない。
創作を純粋に楽しむ
工房には守谷氏のアート作品がここかしこに。
そのどれもが独創的で他に見ない手法だったり素材の組み合わせだったりする。
雑巾を左官で固めた毒器、段ボールに左官を施したテーブル、使い古したスケートの板を持ち手にくるんだ左官鏝など。
元々左官師だった守谷氏はある時藍の深い青に魅せられ、この青をどうにか左官に取り入れられないかと考えた。
しかし、藍の経年変化をもつ性質から建材に使うには退色してしまい無理だろうと言われた。
そこで諦めないのが、さすがのところで、独学で研究を重ね、オリジナルのレシピを開発して、ついには世界初藍での左官を成功させる。
藍左師として著名人の個人邸宅や有名ブランドの店舗デザインなどを手掛ける一方で、今度はこの技術を広めようと思う、
そして誕生したのが鏝藍(ばんらん)協会。
私も青に魅了された一人として自分にできる事、
自分のフィルターを通して具現化できるもので、
現代に生きる青の表現者でありたいと思います。
今まで不可とされてきたものが、
伝統技法と革新的な材料で可能となることは素晴らしいことであり、
私はこの素晴らしさを独占ではなく、
文化にするべく藍左師(あいさし)モリヤレイタとして
鏝藍(ばんらん)協会を立ち上げました。
貴重な藍の材料はきちんとした商流をつくり、
協会員(同志)を募り情報共有や交流を深める事で、
革新的なものを世の中に深く広めていく必要があるためです。
その技術を独り占めすることもできたはず、
それをしないのは、藍と藍の業界を守り繋げていくため。
守谷氏は藍を自分で育てます。
主に染色に使われるのは葉の部分ですが、茎や花まで余す事なく使い切ります。
「藍を始めて思った事。藍の業界も生産者不足、衰退の一途を辿り、この先続けていくには、裾野を広げて広く皆に使ってもらって生産者を盛り上げる必要がある。」
そう話す守谷氏の言葉に、一時期海外に仕事が流失してしまった日本の衣料業界の苦しみが重なりました。
armiを始めたきっかけもそうであったからだ。
トレーサビリティーを始めた時こう言われた、
生産経路を明かすなんて、他のところに取られて終わりだよ、と。
作り手として全く怖い訳じゃない、その可能性があることも。
ただそれを超える理由がある。
守谷氏は笑って言う。
「オリジナルから生まれたことだから他の人が同じ事してもかなわないよ。
自分は作り出すまでの工程が好きで、それが終わると飽きちゃうんだよね。」
不安は一掃された。
地元と家族を愛し大切にする
ART MORIYAの染めで特質するのが、素材の選定。
藍はご自身の畑で栽培、
時に娘さんと、時に障害者の方々と。
”半径0メートルを幸せにする世界”
人気アーティストは企業や行政からも引っ張りだこで多忙を極めるが
「地べたのことを身の回りの人とやっているのって、純粋に楽しい。」と話す。
定期的に染め直しのワークショップを開催し、
地元の方と触れ合う。
先日はarmiの展示会でもワークショップを開催いただき、大変好評を博した。
その際には鉱物染めや灰染めも体験させてもらった。
鉱物染めに使われる日向石は、地元伊勢原でとれる石で、地域の古社寺の石造物などに用いられ、街中に活用されていた。
しかし、1970年に産業が閉ざされてしまっています。
日向石がとれる山には石切場とゆう場所があって、数少なくなった石切場では採掘から加工までを行います。
その石切場で石を加工する際にでる粉末を再利用して染めや建材に使用しています。
地元で活用されない、見過ごされてしまっている材料を
新しい素材との組み合わせで価値あるものに変えていく。
出どころのわからないものを着るより、そういった背景を着るほうがずっと気持ちいいし、格好いい。
armiの白Tが日向石を纏うことで、また一変し味わいを増したようだった。
周りを生きやすくする
守谷氏は社会活動も積極的に行う。
継続的な障がい者雇用や多様性を地域社会で賛同して行く仕組みとして、障がい者就労を進めている藤沢市と共にスタートしたBLUE HANDS PROJECT。
年齢、性別、障がい、人種、民族、生まれ、宗教、経済状態などにかかわらず、すべての人が、能力を高め、社会的、経済的、政治的に取り残されないようにすすめる。
現在は月間200枚以上の生産受注を受けて仕事を続けているそう。
個人の能力を高めること、それはどんな立場からもとても大切な事だと再認識。
また最近では使われなくなったビニールハウスを活用し、子育てする母達の働き場として染め工房を開放する。
同じ子育て世代の母として、このようなコミュニティーの場があるってことが、とても貴重だったりする。子育ての最中って、可愛い我が子はとても愛おしくてかけがえないのだけど、一方で社会に対しての自分は、なにか取り残されたような、置いてけぼりの孤立感を覚えたりするのも事実。
だからこうゆう場所で同じ立場の仲間達をクリエイションして、コミュニケートして、社会と繋がっていることで、救われる人は多いはず。
armiも今年からSEED CYCLEとして、循環型コットン栽培を始めます。
これは新たな挑戦でもあるけど、私の次の目標でもあったりする。
それは人と社会に還元すること。
6年目を迎え、感謝ばかりの気持ちでなく、人に与えられるようになりたいとゆう思いが強くなってきて、この取り組みで人と人とが繋がっていく場だったり、社会でちょっとした不便や不満のあるところを取り除けたりできたらいいなと思っています。
まだ未知数なことは多いけど、とにかくやってみる!
こうゆう気持ちになったのは、少なからず身近に影響を与えてくださるパワーのある人がいるからですね。
久しぶりのブログ更新になりましたが、
最後まで長文お読みいただきありがとうございました。
ART MORIYAの染めはオンラインからもオーダーいただけます。
買い替えを考えていたarmiのTシャツ、一度染め直しをしてみるのもいいかと思います。
心弾む春の衣替えに是非ご活用くださいませ。
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